美しくも厳しい自然と人間を描いた不朽のドラマ
北海道富良野市を一躍、全国に知らしめたのが、1981年からフジテレビで放送された「北の国から」です。
東京で結婚したものの、離婚して、シングルファザーとして故郷富良野に戻ってきた黒板五郎(田中邦衛)と、都会暮らしからいきなり田舎に連れてこられたことで、富良野での自給自足の生活になじめない純(吉岡秀隆)、そして不器用な父親と兄を思いやる妹・蛍(中嶋朋子)。
物語は黒板家の3人と富良野の大自然を中心に展開していきます。1981年の放送開始から、2002年の「遺言」まで約20年にわたって、幼い純と蛍が成長していく様子や、葛藤・苦悩などを描き、大きな反響を呼びました。
また、岩城滉一演ずる草太兄ちゃんや、地井武男演ずる中畑のおじさん、竹下景子演ずる雪子おばさん、純の恋人役として登場した横山めぐみ、宮沢りえ、内田有紀など、個性的な脇役と富良野の厳しくも美しい自然が、ドラマを彩りました。
シリーズ最後となった「遺言」の前半では、視聴率38.4%を記録しました。2017年も再放送やDVDムックの販売が行われるなど、現在も根強いファンが多い作品です。
中畑のおじさんのモデルとなった仲世古善雄さんが住民とともに運営してきた北の国から資料館は、2016年に惜しまれつつも閉館してしまったのですが、富良野には、現在も番組を思い出すことのできるロケ地が残されています。
ここでは富良野に行ったら訪れておきたいロケ地をご紹介します。
五郎の石の家・最初の家
「'89 帰郷」の中で五郎が建てはじめた「石の家」。「'92 巣立ち」では五郎が家を建てるべく木材を削っている姿が描かれますが、純が東京でタマコ(裕木奈江)を妊娠させてしまったことから、木材を売ってしまいます。その後、「'95 秘密」から「2002 遺言」まで、五郎はこの石の家に住んでいました。
この家は、富良野市東麓郷に現在も建っていて、4月中旬から11月下旬にかけて内部を見学できます。
また、同じ場所には五郎・純・蛍の3人が富良野で初めて住んだ「最初の家」が復元され、実際に純と蛍の部屋だった2階まで上がることができます。純の「電気がなかったら暮らせませんよ!」という声が聞こえてきそうですよね。
麓郷の森
麓郷に行ったらぜひ訪れておきたいのが、麓郷の森です。ここでは「'84 夏」で、純と正吉が不注意から火事を出してしまった丸太小屋と、「'87 初恋」で、純が風力発電装置を五郎にプレゼントした「3番目の家」を見学できます。
なお、丸太小屋は実際にドラマで使われたもので、火事のシーンは別の丸太小屋を造って撮影したそうですよ。
拾ってきた家
「2002 遺言」で五郎が新婚のすみえ夫婦のために造った、廃材を利用して造られた家です。また、番組終了後の2004年には同じ場所に純と結(内田有紀)夫婦のために造られた家があります。
市街地にあり、バス「麓郷線」の終点から歩いて2分ほどの場所にあります。また、4月から10月にかけてはレンタサイクルを行っていて、周囲を自転車で観光することができますよ。
ニングルテラス
新富良野プリンスホテルの敷地内にある、15棟のログハウスから成るショッピングエリアがニングルテラスです。ドラマでは、「'98 時代」では、竹下景子演ずる雪子が離婚して森のろうそく屋で働く様子が描かれています。
純が草太が亡くなったという連絡を聞くシーンを思い出して、胸が詰まる人もいるのではないでしょうか。
ニングルテラスは現在も通年で営業しています。また、予約制の「ニングルアトリエ」クラフト教室も行われていて、森のろうそく屋を含めた数店舗では、子どもから大人までが楽しめる手作り体験を行っています。手作り体験をしながら、ドラマを回想するのも乙な楽しみですね。
吹上露天の湯
見学などを楽しんだら、「'95 時代」で、五郎と宮沢りえ演じるシュウが一緒に入っていた露天風呂・吹上露天の湯に出かけてみてはいかがでしょうか。
ここは上富良野町の吹上温泉保養センター 白銀荘から歩いて5分ほどの所にある、無料の24時間入れる混浴の野天風呂です。ドラマの効果もあり、週末は混んでいることが多いですが、近くに脱衣場やトイレはありません。
また、ドラマでは乳白色に着色されていましたが、実際は無色透明の温泉です。そのため、かみふらの十勝岳観光協会では、女性は水着を着用するかタオルを巻いての入浴をすすめています。
地図とパスポート片手にドラマの世界へ
ふらの観光協会では、ロケ地めぐりを楽しむために、北の国から探訪マップを配布しています。この探訪マップはホームページからもダウンロードできますよ。また、ロケ地めぐりをより楽しむために、「北の国から」パスポートを購入して、スタンプラリーを楽しむのもおすすめです。
このパスポートは脚本家の倉本聰氏のアイデアで発行されるようになったものです。番組ゆかりの場所を、スタンプを押しながら回ることができます。地図とパスポートを持って、ドラマの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
(画像は写真ACより)