情緒あふれる港町・小樽を水上から楽しむ
近年、海外からの観光客も多く、国内外から熱い視線を浴びている北海道。その中でも人気の高い小樽市は、新千歳空港からも電車で1時間強、札幌駅からも電車やバスで30分~1時間ほどあれば、簡単にアクセスすることができるなど、足を運びやすい場所でもあり、札幌に着いたらぜひ立ち寄っておきたいエリアのひとつです。
赤レンガとガス灯に代表される美しい街並みと景色、北海道ならではの美味しい食べ物が集まる小樽ですが、今もっとも注目を集めているのは、小樽運河クルーズです。今回は、この新定番となりつつあるクルーズをご紹介します。
歴史的建造物も数多く残る小樽を象徴するのは、海岸を埋め立てて作られた、非常に珍しい運河でしょう。この小樽運河は、大正12年(1923年)に開通したもので、全長は1,140メートル、広いところでは40メートルにも及ぶ流域幅をもって、湾曲しながら街を緩やかに流れていきます。
北海道開拓の玄関口、物流拠点として栄えた小樽地域では、寄港する大きな船を沖に停泊させ、荷揚げを行っていましたが、より効率的に運搬作業が行えるよう、この運河を作り艀の接岸距離を長くしたのです。戦後には港の整備で、こうした運河の使命は終わりを告げるものとなりましたが、当時の面影を残しながら、散策路や街園、ガス灯などが設置されて、現在のような人々の憩いのスポット、観光スポットとなりました。
こうした小樽運河の楽しみ方として、遊歩道を歩くのももちろん良いものなのですが、運河にかかる橋をくぐり抜けたり、水上から見上げるように建造物を眺めたり、水面に映る景色を堪能するといった、ひと味違った趣をゆったり優雅に味わえる良さがあるのが、船でめぐるクルーズなのです。
お好みは爽快な景色のデイ?ムードたっぷりのナイト?
小樽運河クルーズには、小樽駅前にある中央通を直進し、橋を渡ったところにある「中央橋チケット販売所」でチケットを購入し、隣接する乗り場で乗船すれば誰でも参加できます。所要時間は40分と程よい長さですから、日帰り観光にもおすすめですね。チケットの購入は当日その場でも可能ですが、人気の高さゆえ混雑も予想されますから、事前に希望の時間・コースを予約しておくと安心です。
運河沿いには、赤レンガの倉庫群、重厚感のある石造倉庫群、数々の貴重な歴史的建造物と、レトロでノスタルジック、かつての小樽運河の雰囲気を感じさせる建物が続き、絶好の撮影スポットも数多く存在します。より間近で多くの建物を見ることができ、クルージングならではの体験ができるでしょう。
倉庫群を抜けると橋をくぐり、船は小樽港へと出てゆきます。天気の良い日には爽快に広がる青い海と空、光の美しさを体いっぱいに感じられます。停泊する船を横目に港町を感じながら、今度は雰囲気の異なる北運河へと入っていきます。
穴場ながら海外観光客に人気の高い、北海道製罐旧第3倉庫も見学でき、まさに小樽の魅力をぎゅっと凝縮したクルージングの旅は終了へと向かいます。
船には個性的なキャプテンが乗り込み、ガイドを行ってくれますので、楽しく歴史や文化を学びながら、あっという間のひとときを過ごせるでしょう。
クルージングは、ほぼ30分おきに出航しており、デイクルーズとナイトクルーズがあります。青い空と建造物の対比、四季折々の自然がみせる鮮やかな彩りを、水面に映る姿とともにたっぷり楽しめるデイ、夕暮れ時のガス灯が灯り始めたあたたかな光に包まれるロマンティックな雰囲気を満喫できるナイトのどちらも魅力的で捨てがたいですね。
同じ景色も違った表情をみせてきますから、どちらも楽しみたくなる方も少なくないでしょう。旅の日程やシーン、お好みにあわせて選んでみてください。なお荒天の場合、運休となったり、時間が変更になったりすることがありますから、天候には注意してくださいね。また暖かい日でも、急に冷え込むこともあります。船でも防寒対策などをとってもらえますが、上着など調節できるものを自分でも用意しておくことをおすすめします。
いかがですか。ゆったり心地よい揺れに身をまかせ、船でしか得られない目線から、運河ならではの風景や情緒を満喫できる小樽運河クルーズは、体験すれば想像以上の満足感を得られ、忘れられない思い出となることでしょう。ぜひあなたの旅の1ページにも加えてみてください。
(画像は写真素材 足成より)