新千歳空港近くに野鳥の楽園
新千歳空港からほど近いところに、国際的にも知られた野鳥の楽園があるのをご存じでしょうか。新千歳空港の約10km南にある「ウトナイ湖」です。
周囲約9km。平均水深60cm足らず。ウトナイ沼とも呼ばれる小さな湖ですが、周囲は広大な勇払原野が広がります。マガンやハクチョウの集団渡来地として知られ、日本で4番目のラムサール条約登録地でもあります。
ウトナイ湖
カタカナの湖名の由来はアイヌ語です。「あばら骨の川の沼」を意味する「ウッ・ナイ・トゥ」が語源で、この湖から流れ出る川に、いくつもの川が合流するさまを背骨と肋骨に例えたものだそうです。
周辺は湿地帯で湖沼がいくつもありますが、一番大きいのがウトナイ湖です。
ウトナイ湖サンクチュアリ
ウトナイ湖がラムサール条約に登録されたのは1991年(平成3)年のこと。さらに10年遡って1981(昭和56)年には、日本野鳥の会が、ウトナイ湖に日本初の野鳥サンクチュアリを設置しました。サンクチュアリとは鳥獣保護区域のことです。
ウトナイ湖の面積は275ha、サンクチュアリ全体では510ha(東京ドーム約108個分)におよびます(国設鳥獣保護区特別保護地区とラムサール条約登録湿地の面積も同じです)。
サンクチュアリには、拠点となる施設としてネイチャーセンターが置かれ、レンジャーやボランティアが日々自然を守るための活動を行っています。
ちなみに、日本野鳥の会が管理、運営しているサンクチュアリは全国に8か所あり、そのうちの3か所が北海道にあります。
また、ラムサール条約というのは、正しくは「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、1971(昭和46)年に採択されました。採択のための国際会議が開かれたのがイランのラムサールでした。現在、日本には50か所の登録地があります。
見られる野鳥の数々
これまでウトナイ湖で確認された野鳥はなんど約270種にもなるといいます。
これからの季節、秋から冬にかけては、まず紅葉が終わる頃になると、マガンが飛来し、続いてハクチョウがやってきて羽を休めます。
冬になってあたりが雪で白く染まり、湖が氷に覆われる頃になると、羽を休めていた鳥たちの多くは南に向かって飛び立っていきます。
中には、ウトナイ湖に残って厳しい冬を越すカモやハクチョウもいます。凍った湖面ではオジロワシやタカが、森の中ではキツツキなどが姿を見せます。
長い冬が終わりって、春、氷結した湖面が融けはじめると、日本の各地から数万羽のマガンが飛来します。他にも、カモやハクチョウ類などが集まってきます。夕方、餌場から帰ってくる数万羽の鳥の眺めは圧巻です。
夏になると、草原ではノビタキやノゴマが、森ではエゾセンニュウ、キビタキなどのさえずりが聞こえます。湖の岸辺にはシギやチドリ、アオサギなどを見ることができます。水辺の宝石といわれるカワセミが見られることもあるそうです。
サンクチュアリの周辺には、「イソシギのテラス」、「シマアオジの小径」、「草原の観察小屋」、「ハクチョウのデッキ」などのビューポイントがあります。
まとめ
新千歳空港からバスと徒歩で30分ほどという至便の場所にあり、遊歩道も整備されているので、都会ではなかなか見ることのできない野鳥とのふれあいを求めて足を伸ばしてみてはいかがでしょう。
日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ ネイチャーセンター
住所:苫小牧市植苗150-3
アクセス:新千歳空港から道南バス「苫小牧駅」行きに乗り「ネイチャーセンター入口」下車(約15分)し、徒歩約15分。
(画像は写真ACより)