大都市にあるジャンプ競技場
全国の大都市にはだいたい「中央区」とか「中区」という区があります。いわばその都市の中心部。札幌市にも中央区があって、なんとその中に国際大会も開催されるスキージャンプ ラージヒルの競技場があります。その名は「大倉山ジャンプ競技場」。
国内の有名なスキー場で、ジャンプ競技場が併設されているところは何カ所かありますが、いずれも大都市から離れた山間部。ラージヒルの競技場にいたっては、札幌と長野県の白馬村にしかありません。そうです、冬季オリンピックが開催された場所にしかないのです。
この大倉山ジャンプ競技場は、スタート地点の上に展望ラウンジが設けられていて、そこから札幌市を一望することができ、人気の観光スポットになっています。
大倉山ジャンプ競技場
昭和の初め、北海道を訪れた秩父宮雍仁親王が、国際級の大型ジャンプ競技場の必要性を語ったことがきっかけで、札幌に60m級のジャンプ台が造られます。
私財を投じて建設費をまかなったのは実業家の大倉喜七郎。大倉財閥の2代目総帥で男爵です。帝国ホテル会長を始め、ホテルオークラ、川奈ホテルなど日本のホテル業界に多大な貢献をした人物です。
大倉は完成したジャンプ台を札幌市に寄贈し、札幌市はその厚意に報いて「大倉シャンツェ」と命名しました。さらに、ジャンプ台が造られた無名の山が「大倉山」と名付けられると「大倉山シャンツェ」と呼ばれるようになりました。
1972(昭和47)年の札幌オリンピックを前に大改修され、「大倉山ジャンプ競技場」と名を改められました。
余談ながら、札幌オリンピックでは、このジャンプ台からは日本人メダリストは生まれませんでした。笠谷幸生をはじめとして、日本人がメダルを独占したのは、隣にある70m級(現ノーマルヒル)の「宮の森ジャンプ競技場」でした。
大倉山展望台
ジャンプ台のスタート地点のすぐ後ろには「展望ラウンジ」が設けられていて、スタートラインと、選手が滑り降りる急斜面(滑り降りるだけでもおそろしい)を目の前に見ることができるのです。標高は307m。展望ラウンジまではリフトを使用します。
視線を上に向ければそこに広がっているのは札幌の町並み。踏み切った選手はきっと札幌の町まで飛んでいく感覚に襲われるのではないでしょうか。
もう一つ忘れてならないのは、大倉山展望台から眺める札幌の夜景です。2015年に神戸、長崎とともに「日本新三大夜景都市」に認定された札幌。市内にいくつかある夜景観賞スポットのひとつがここ大倉山展望台です。
いささか季節外れではありますが、3月には「札幌雪花火」が開催され、1,500発の花火が、まだ雪に覆われた山を彩ります。花火は大倉山の山頂から打ち上げられるので、最高到達点が約800mに及び、札幌中心部からも見えるほどです。
ミュージアムとレストラン
ランディングバーン周囲には、「札幌オリンピックミュージアム」と「クリスタルハウス(売店・レストラン)」があります。
札幌オリンピックミュージアム古代オリンピック誕生から近代オリンピックへの変遷、札幌のウインタースポーツの歩み、日本のオリンピック出場選手が実際に使った競技用具、パラリンピック誕生のきっかけや歴史やその精神などがわかりやすく展示されています。
圧巻は、スキージャンプを疑似体験できるシミュレーターです。大画面の前に立って、踏み切りから飛行、着地までの動作を行います。飛距離や得点も表示されるので、沙羅ちゃんの数字と比較してみましょう。
クリスタルハウス1階は、大倉山のオリジナルグッズや北海道土産の売店です。「飛」、「翔」、「鳥人」などと書かれたオリジナルTシャツがオススメです。2階はガラス張りのレストラン「ラムダイニング 大倉山」です。窓に面した席から札幌の夜景を眺めながら上質のジンギスカンを味わう至福の一時を過ごせます。
まとめ
市街地のすぐ近くにこんな素晴らしいお楽しみスポットがあるのです。またひとつ札幌のお気に入りが増えること間違いなしです
大倉山ジャンプ競技場・大倉山展望台住所:札幌市中央区宮の森1274
アクセス:地下鉄東西線「円山公園」駅からJR北海道バスで約10分、「大倉山競技場入口」で下車し、徒歩約10分
(画像は写真ACより)