札幌の川には鮭が帰ってくる
北海道を代表する味覚の一つ、鮭。北海道の海で捕れるだけでなく、札幌市内の川にも産卵のために鮭、それも天然の鮭が帰ってくるのをご存じでしょうか。大都市の河川に天然の鮭が回帰するのは世界的に見ても珍しいそうです。
札幌市内と近郊で鮭の遡上を見ることができるスポットと、鮭にまつわる催しをご紹介いたしましょう。
豊平川水系
秋になると、札幌市内を流れる豊平川の中を、人が歩いているのを見かけることがあります。酔狂で川の中を歩いているのではなく、鮭の遡上を調査している「札幌市豊平川さけ科学館」の職員です。
開発による水質悪化などで一旦は絶滅したといわれる豊平川の鮭ですが、1970年代に鮭の稚魚を放流する取り組み「カムバックサーモン運動」が始まりました。活動の拠点として1984年に設置されたのが、「札幌市豊平川さけ科学館」です。
努力の甲斐あって、今では毎年10月初旬から11月半ばにかけて、1000から2000尾の鮭が遡上してきます。
鮭の遡上を観察できる場所は、市中心部に近いほうから、豊平橋、水穂大橋、東橋の三つの橋。特に、豊平橋はすすきのから徒歩で10分ほどなので気軽に足を運ぶことができます。
時間が許せば、鮭の姿を探しながら東橋まで散策してみるのも楽しいと思います。川幅がけっこう広いので、双眼鏡があると鮭を探すのに便利でしょう。
豊平橋住所:札幌市中央区南5条東4丁目
アクセス:地下鉄南北線「すすきの」から徒歩約10分
アシリチェプノミ
川で鮭の初物(アシリチェプ)が捕れたことを祝うアイヌの祭りが「アシリチェプノミ」です。「ノミ」は祖先に感謝を伝える儀式「カムイノミ」のこと。
豊平川では、南7条大橋近くの河川敷で例年9月第2日曜日に開催されます。アイヌ民族の古式舞踊(輪踊り)もあるので、一見の価値ありです。
南7条大橋 豊平川河川敷住所:札幌市中央区南7条西1丁目
アクセス:地下鉄南北線「中島公園」から徒歩約10分
アシリチェプノミ公式サイト:
https://asircepnomisapporo.jimdo.com/新川水系
札幌北西部を流れる新川の支流、琴似発寒川にも毎年300から500尾の鮭が上ってきます。豊平川と比べると数は少ないですが、川幅が狭いので、鮭の見つけやすさは豊平川に勝ります。オススメのポイントは、寒月橋から農試公園橋にかけてです。
寒月橋住所:札幌市西区琴似4条西1丁目
アクセス:JR函館本線「琴似」駅から徒歩約10分
星置川水系
JR函館本線で札幌から小樽へ向かうと、小樽市に入る一つ手前に「ほしみ」という駅があります。「ほしみ」すぐ手前を流れる星置川にも毎年鮭が遡上してきます。JR函館本線の南を通る国道5号線の星置橋から下流(北)に向かって星観緑地に至る間で鮭を見ることができます。
星観緑地住所:札幌市手稲区手稲星置317
アクセス:JR函館本線「ほしみ」駅から徒歩約5分
厚田川・浜益川(石狩市)
札幌の北隣にある石狩市。時間に余裕があれば、鮭の遡上を見るには、こちらがオススメです。9月上旬から10月中旬にかけて、市内を流れる厚田川や浜益川で遡上する鮭を見ることができます。
遡上を見ることができるスポットも多く、イクラ作り体験や、期間限定でサーモンフィッシング(釣獲調査)もできるので、ご興味のある方は石狩市の公式サイトでご確認ください。札幌から石狩市までは車で約1時間です。
石狩市公式サイト:http://www.city.ishikari.hokkaido.jp/千歳水族館
鮭の遡上は見てみたいけれど時間がない、という方には、道の駅「サーモンパーク千歳」にある「千歳水族館」をオススメします。
日本最大規模の淡水水槽を備えた本格的な水族館です。サーモンゾーンでは稚魚から成魚までの鮭を見ることができ、さらに、施設裏手の千歳川に遡上してくる鮭を見ることができます。
千歳水族館住所:千歳市花園2丁目312番地
アクセス:JR千歳線「千歳」駅から徒歩約10分
公式サイト:
http://chitose-aq.jp/まとめ
秋は札幌観光にはあまり人気のないシーズンですが、鮭の遡上を見るというレアな体験ができる唯一の季節でもあります。鮭以外にも食欲の秋を満喫できる美味しい物がたくさん出回っているので、秋の札幌も楽しんでみてはいかがでしょう。
(画像は写真ACより)